中田英寿選手引退の報を受けて

試行錯誤を重ねてもなかなか上向かないパフォーマンス。
周囲からの絶えざる重圧、あるいはバッシング。
必勝を期した大一番で逆転負け。しかも完膚なきまでの惨敗。
人目もはばからず流した涙。
そして電撃的な引退発表。
……

この一連の流れを見守りながら、どうも誰かに似てるような気がしていたのだが、先ほどようやくその“誰か”を思い出した。
江川卓だ。


かくして私の頭の中では、引退後の中田英寿が“芸能界屈指のワイン通”として活躍することが確定した。



という冗談はさておき。

中田はまだまだ現役で活躍できる若さがあると思うし、深刻な故障を抱えているわけでもないみたいなので、引退は実に残念だ。
しかし本人が熟慮のすえに決めたことだから、あきらめるより他はない。

ここ2、3年、クラブでも代表でも思うように活躍できなくて、20代前半の頃の輝きはもう取り戻せないと悟ったのだろうか。
それともこのW杯において、ジーコジャパンの真の大黒柱になれなかったことで自分の限界を感じたのか。

才能とプロ意識、そして誇り高さは誰よりもまさっていた中田。しかし繊細でシャイで時に高慢な性格が災いした。たとえばブラジル戦後のインタビューでの投げやりな受け答え(インタビューアーの力量不足のせいも多分にあるけど)をみていると、チームメイトにとって中田が近寄りがたい人物として映っていたことは想像に難くない。

たとえば小野がチームの大黒柱・まとめ役になり、中田が孤高の職人に徹することが出来ていたならば、今大会の日本代表の戦跡は大きく変わっていたかも知れない……と思う。
ジーコジャパンをふりかえると、練習中あまり選手たちに笑顔がみられなかったし、ハーフタイムや試合終了時にはみんなうつむいてバラバラに歩いていたし、クロアチア戦などで川口がファインセーブを見せたときでさえもチーム全体の士気の高まりが感じられなかった。(“はぁ〜危なかった”と疲れた表情をみせる選手ばかりだった。)
このへんの責任は中田というよりむしろ主将の宮本にあるのかも知れないけど、それでもチームメイトへの影響力という点ではやっぱり中田が一番大きいだろう。

将来中田に日本代表監督をやってほしいという声をネット上のあちこちで見かけるが、おそらく性に合わないと思う。


一次リーグでさんざん危なっかしい試合をしてきたフランスがここにきて、ジダンを中心にまるで別のチームかと思うほどの躍進を見せ、そしてブラジルがそれとは対照的にタレント勢の共存に失敗して沈んでいったありさまをみていると、サッカーにおいて結束力と士気がいかに重要かということを痛感する。
開催国という地の利を生かして結束力と士気をおおいに高めているドイツもまた然り。


なんか極端な話、判断力・統率力・求心力の3点に優れてさえいれば、監督は必ずしもサッカー経験者でなくても良いのでは? などと思ってしまう。
(そのかわり、サッカーを知り尽くしたコーチやスタッフが必要だけど)


次回W杯の開催地は南アフリカだ。
となると……判断力・統率力・求心力をもち、なおかつ南アフリカをさながら日本のホームのごとき状態に変えることが出来る英雄的人物、すなわちネルソン・マンデラ*1こそ次期日本代表監督に最適なのではなかろうか?

え、だめ??

*1:ちなみにマンデラ氏のフルネームは、ネルソン・ロリハラハラ・マンデラNelson Rolihlahla Mandelaだそうです。“ロリハラハラ”ってなんだか気になる響きだな〜。